知らなかったでは済まされない!サブリース契約の仕組みには要注意?

知らなかったでは済まされない!サブリース契約の仕組みには要注意?

サブリース方式の契約とは、所有する賃貸不動産をサブリース業者と(転貸をすることを目的として)マスターリース契約を結び、所有者はその会社が賃貸人の地位として転借人とサブリース契約(転貸借契約)を結ぶことを認める仕組みとなっております。(*下図の通り)

参照:国土交通省・賃貸住宅管理業法:適正化のための措置
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/sublease.html

通常の賃貸借契約は、貸主と借主の当事者で結び、契約書上で借主は第三者への転貸やそれに準ずる行為は一切禁止されていますが、このサブリース方式は転貸を目的とするので、居住用の建物賃貸借契約であっても、サブリース会社が転貸することによる収益を得ることをあらかじめ了解する契約とも言えます。

所有者のメリットは、通常の一般的な相場家賃の8割~9割程度の収入が保証され、お部屋の空室期間などは関係なく、所有者はサブリース会社から毎月安定した賃料を受け取ることができます。大手ハウスメーカーの賃貸物件の場合は金融機関からの借入を含め、この方式が優位になり長期の計画が成り立つ場合がありますが、例えば投資用の1ルームマンションを将来売却しようとしたり、ファミリーマンションを自宅として利用しようと購入した場合注意が必要です。

サブリース方式での契約がある場合のデメリットは、一度契約を結ぶと所有者の正当事由が認められない限り、マスターリース契約を解約することが困難であることがあります。契約当時に説明を受けていなかった、などとトラブルに発展したケースも多くあり、とくに投資用のワンルームマンションのサブリース契約については、裁判事例でも、所有者の正当事由が認められず解約を認められないケースが見受けられます。そもそも、転貸をすることを目的とした営利目的のマスターリース契約にもかかわらず、借地借家法上の賃借人の地位が優先されて、サブリース会社は所有者との関係では賃借人であるので、契約書上に中途解約の規定が本文にあったとしても、貸主の一方的な理由での中途解約が実際に認められず、解約をするには正当事由が必要である、ということ自体に矛盾があると思いますが、現行法では致し方ないのでしょうか。

国土交通省では、サブリース方式で契約を結ぶ際のリスクについて、賃貸住宅管理業法のもと、家賃の見直しや契約の解除の条件など、潜在的なリスクの説明を義務付けるために、法第28条~第32条で誇大広告、不当勧誘の禁止、契約前と契約締結時に契約内容の書面による説明を義務付けるようになっております。しかし、それも最近の話です。昔の契約ではその制度は適用されません。

具体的な事例として、ご自身が住もうと購入したマンションにしばらく住んでいたが、転勤が理由で自宅に住むことができなくなり、住宅ローンを返済するうえで毎月の安定収入が必要だったので、勧誘された業者の言う通りにサブリース業者との契約を結びました。10数年後、転勤も終わりそろそろ自宅に戻りたいと契約書に記載のあった6ヶ月前の解約通知期間で解約を申し出たところ、所有者が自宅に戻らなくてはいけない正当事由があるのか、なければ解約はできない、という対応を受け、またもし解約をしたい場合は契約書に記載のない賃料の24ヶ月相当の違約金の支払いを求められました。

弁護士に相談をして過去の裁判例を調べてもらいましたが、正当事由が認められるケースとして難しいという判断で、契約を交わしたに当時所有者が誤認した可能性があるので消費者法での解約を再度申し出たところ、当時の制度は義務化前であり罰則等もなく、またそれであっても借地借家法上の正当事由が優先されるべき主張を受けました。これで裁判を起こすとなると、弁護士費用や時間もかかり、結果的には違約金を払うほうがより早く目的を達成できる、という結果になりえます。サブリース契約については、色々な議論があります。ご契約前にはよく確認が必要です。

ご不明な点があればいつでもご相談ください。

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