桜の儚さと、朋との再会と コラムvol.15

桜の儚さと、朋との再会と コラムvol.15

by 山田智也 2025年4月25日 ≪Column vol. 15≫

桜の季節は、あっという間に過ぎていきます。二分咲きから満開へ、そして雨や風に打たれて散り、やがて葉桜へ。

この儚さと潔さが、どこか日本人の美意識に深く根ざしているのかもしれません。日本に自生する桜の分類は、野生種(原種)だけでも約10種ほどあるといわれています。


なかでも代表的なのが「ヤマザクラ」です。私が春の山を歩く楽しみのひとつが、ヤマザクラの開花です。ソメイヨシノのように花だけが先に咲くのではなく、若葉とともに咲く姿からは、野生ならではの美しさが感じられます。

遠くから春の山を眺めたとき、群生ではなく、ぽつんぽつんと咲くヤマザクラは華やかさこそ控えめですが、他の木々とともに景色に自然と溶け込み、いつまででも見ていられるような時間を演出してくれます。残念ながら今年は予定が重なり山歩きはできませんでしたが、早起きして早朝に横浜市旭区にある「こども自然公園」の見事な満開を見たときは感動ものでした。あとは「山下公園」のシダレザクラも見事でした。氷川丸をバックに写真も撮れたので個人的には満足です。

 

 

 

 

 

 

 

 

毎年、桜の開花を心待ちにして、日本列島南から北まで、桜の開花前線マップや開花予測が各テレビ局で話題となります。もはや日本人にとって“桜”は社会現象レベルで、全国各地の名所に人が集まるのは日本独特の文化かもしれません。海外からの旅行者も、桜の時期は人気のようです。インバウンド向けに様々なツアーが組まれて人気のようです。

3月後半に27年ぶりにアメリカのミシガン州デトロイト近郊に住む友人たちが日本に来ました。友人の一人の弟の結婚式が京都であり、その前に時間をつくり渋谷で再会が叶いました。スクランブル交差点から代官山を歩き最後は目黒川の桜を見て一杯やろうと3人で街歩きをしましたが、結果的に残念ながら目黒川の桜は一分咲き程度。でも、提灯や幹を照らすライトの光に演出された夜桜(- 幹と枝と少しの花と -)をビールと共に楽しみ、友人たちも喜んでいました。

渋谷からの道中では、LPレコード店を周り、ピンク・フロイドやクイーンなど往年のロックスター達の日本限定版を購入。また、日本のアニメ(漫画本)に興味がある、という友人の息子には(文字は読めないだろうけど)最新のワンピースの新刊をプレゼントしました。いま、日本もそうですが、アメリカではLPレコードの人気が再燃しているようです。いわゆる「ストリーミング」と言われる定額制の音楽配信が主流であり、いつでも、どこでも、その時の気分に合わせた選曲を聴くことができます。そんななかでも、好きなアーティストの曲を、あえて手間をかけてレコードで聴く、という行為そのものに価値を求める人が増えてきたようです。

レコードというアナログな「モノ」をコレクションすることの喜びと、自分の好きな曲を、レコード針を落として自分のペースで流したい、という少し余裕のある楽しみ方に、とても共感できます。私にも、実家の段ボールの中に眠っている、昔のJAZZの名盤レコードがあります。プレーヤーも会社の倉庫に眠っています。この夏までには、まずは針を購入して、アンプにつなぎセットしてみようと思います。

「なにが食べたいか?」と聞いたら、私に任せるというので、中目黒駅前にある、友人の弟が店主で焼く、もつ焼き屋に行きました。キンキンに冷えたキリンビールのジョッキに枝豆。れば、はつ、なんこつ、たん、てっぽう、ちれ、牛串、それから馬刺し、ネギ焼き、冷やしトマトにセロリの浅漬けなどを一気に平らげた友人達は「こんな美味しい串焼きを食べたことない」と大喜び。店員さん達とも一緒にジョッキで乾杯し、最高のひとときを過ごしました。

その後は渋谷に戻り、「ストロベリー・フィールズ」というレコードバーを見つけて入店。60~80年代のクラシック・ロックが中心で、ビートルズから、ピンク・フロイド、ニールセン、エアロ・スミス、からマーヴィン・ゲイなどの名曲を聴かせてもらいました。たまたまその時間帯はマスターと我々3名だけでした。せっかくなのでと理由をつけて、はじめて訪問したのにマスターも一緒にウオッカやウィスキーで乾杯して、他にも、いろいろな曲のリクエストを受けてくださいました。

マーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイング・オン」を皆で歌い、ジョン・レノンの「イマジン」を聴き、皆で涙を流しました。「朋あり遠方より来るまた楽しからずや」という論語の一節がありますが、この夜は、私の記憶に残り、そして案の定、飲み過ぎて、一部の記憶はレコードの針のように飛びました。でも、間違いなく一生涯忘れることがない時間でした。嬉しくて、そして少し儚い時間でもありました。またいつか、会える日が来るのだろうか。また必ず会おうと別れた遠く離れた友人たちと、本当にまた会うことを叶えるということは、そんなに簡単なことではないからこそ、特別な夜でした。

ここ最近の世の中は、あきらかな情報過多と、一部メディアの過剰な煽りと、ネガティヴなニュースが反復してテレビやSNSに流れます。ワクワクするような明るいニュースには視聴率が集まらないからでしょうか。それらに一喜一憂することなく、有限な時間を大切に過ごしたいと思う次第です。さあ、夏に向けて色々とがんばらなくては。

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